長崎県の調査に行ってきました。

九州障害者アートサポートセンターは、九州の広域センターとして支援センターを未設置の県の調査を行なっています。今回は長崎県の佐世保・長崎・雲仙を訪問しました。

 

〈ミナトマチファクトリー〉@佐世保

株式会社フォーオールプロダクトが運営している就労継続支援B型ミナトマチファクトリーを訪問しました。お洒落な内装と窓から見える景色の美しさが目を引きます。

ミナトマチファクトリーは当初ワーキングスペースとして、一般の方も交えて独立したイラストレーター、クリエーターとして仕事をする場として運営が始まったそうです。現在も全員が絵を描くのではなく、「ファクトリー」という名の通り、様々なクリエイターとコラボレーションしながら、チームを組んで商品の企画・開発、デザイン、製造、販売を行い、障害者の雇用を生み出しています。自前で縫製やプリントができる設備も整っています。

集中してどんどん制作していく姿はプロのイラストレーターそのものでした。

これらの商品は商店街のセレクトショップや美術館・水族館、東急ハンズ長崎店などで販売されています。

「働くことを生き甲斐に感じられる」をミッションにしているフォーオールプロダクトには、他にも事業所があり、今回は訪問できませんでしたが、B型佐世保布小物製作所ではミシンなどを使ってポーチやカードケースを製作しているそうです。ミシンを使うのが初めての方でも様々な商品を作れるようになります。就労移行支援ホットライフでは、Word, Excel, PowerPointで資格を取得したり、デザインを学んだりできます。

代表取締役の石丸徹郎さんにお話を伺いました。印象的だったのは「当事者の方が、事業所がなくなっても生きていける環境を作りたい」「他の福祉事業所も真似できるようなモデルを作りたい」と仰っていたことでした。観光と感性を掛け合わせて、ビジネスとして成立する環境を作る熱い想いに触れることができました。

 

〈Tsunagu Family〉@長崎

障害者アートを活用した商品開発や商業施設などでのイベントを開催していてるNPO法人Tsunagu Familyを訪問し、代表の城島薫さんにお話を伺いました。

アパレルの仕事をされてきた城島さんにとって、福祉事業所にとって苦手分野の商品製造・販売・在庫管理といったことは得意技です。現在の活動は障害の有無に関係なく面白いもの・すごいものを人に伝えたい、という思いに後押しされています。

先述のミナトマチファクトリーとも連携をとっており、イベントなどで販売する一過性のものでなく、長期的に様々なお客さんに買ってもらえるもの、その場所に行って買う意味があるものとして、観光やお土産に目をつけ商品化を進めているそうです。

福祉事業所で商品化をしたいと思っても日々の業務に追われて手が回らないことがあるので、今後は作品のデータだけ事業所に出してもらい、商品化や販売先といった仕組みを整えるような事業をしたいという希望も伺いました。

 

〈瑞宝太皷〉@雲仙

社会福祉法人南高愛隣会が就労継続支援A型として行っている瑞宝太皷を訪問しました。

リハーサルの様子を拝見しました。太鼓の音がドンドンと深く響いてきて、とても迫力がありました。

その瑞宝太皷の活動ずっと支援してこられた前田康弘さんと山下早苗さんにお話を伺いました。

瑞宝(ずいほう)というのは「やがて瑞穂(町)の宝になってほしい」との思いが込められています。初めは余暇サークルとして始めた太鼓ですが、次第に「プロになりたい」という当事者の方々の声が高まり、2001年にプロとして立ち上げ、興行として演奏活動を行うようになりました。

公演を年間約120回開催しており、地域のお祭りで演奏したり、コンテストに出場して賞を受賞したり、海外公演も行っています。また、地域の保育園や高齢者施設での講習会や社会貢献活動として少年院での演奏なども行っています。

現在は太鼓演奏のプレーヤーとしての活動のみですが、今後はメンバーの高齢化なども見据え、太鼓の演奏に限らず、グッズの製作や販売、営業などの周辺も整えていきたいとのことでした。日本だけに留まらず、世界で活躍し、希望を与える存在になって行く姿が楽しみです。

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