現場体験ワークショップ@長崎県美術館 を開催しました
障害のある方と一緒に文化施設を巡って、一緒に楽しむためのコミュニケーションや配慮の仕方について、実践的に学び合う「現場体験ワークショップ」。文化施設と支援センターのご協力を得て、九州各地で開催しています。
2月19日(木)は長崎県で初の開催となりました。

会場としてご協力いただいたのは今年度で開館20周年となる長崎県美術館さん。長崎県美さんの学芸や広報、施設管理や受付など各部門の方に加え、長崎県内の美術館、博物館の方にもご参加いただきました。
ユーザー(講師)は4名(車椅子の方2名、視覚障害のあるかた1名、聴覚障害のある方1名)で、4グループに分かれて館内を巡ります。
このワークショップの特徴は、講師に合理的配慮について教えてもらう、というものではなく、「障害のある方(友だち)と一緒に美術館に来た」という想定で館内を巡り、困りごとなどに気づいていくということです。
巡る場所は展示室だけでなく、美術館の入り口、受付(チケット売り場)、ミュージアムショップ、トイレ、エレベーターなど。「こういうときはどうしているんですか?」「どんなものがあると助かりますか?」などをユーザーに尋ねながら和気藹々と館内を巡ります。
例えば、耳の聞こえない方とのコミュニケーションとしては筆談が有効ですが、音による情報を得られなくて困るのが火災などの非常時で、特にトイレの中にいると全く周りの状況が分かりません。そのようなときは紙に書いたメモをドアの隙間から滑り込ませて伝える方法があるということで、当事者の方から聞かないとなかなか思いつかない発想でした。また、音だけでなく、光などで情報を伝えるというのも大切だそうです。
また、視覚障害のある方にとって頼りになる点字ブロック。美術館の外の道路から館内の受付まで続いていますが、どこからどこまで点字ブロックがあるのか、日頃勤務している職員の方でも改めての確認となりました。
美術館の作品は、作品保護の観点から触れないことがほとんどですが、長崎県美さんの屋上にある彫刻作品は触っても大丈夫ということで、触っての美術鑑賞にもチャレンジしました。
今回ご参加いただいた車椅子ユーザーの方はそれぞれ電動車椅子と普通の車椅子をお使いになっていました。同じ車椅子といっても大きさも操作性も異なるので、気づきのポイントも異なってきます。
移動しやすい十分なスペースが必要、というのは想像に難くないですが、「実際のところ、ここの幅は狭い?大丈夫?」というのを直接話をしながら確認することができました。
館内を巡るでの体験ワークを終えた後は、共有ワークの時間です。「気づきシート」と「これからシート」という2枚の紙を記入し、グループごとに発表しました。
参加者の気づきシート、これからシートに書かれたことを抜粋して紹介します。
【気づき】
・色々な障害を持った方がいるので、施設内でたとえばトイレ(障害者用)にしても、使い心地が違うのだな…と思った。
・1Fトイレの照明が明るくなるのに時間がかかっていた。LED化が進むと、こういった部分も改善され、利用者のメリットに繋がる
・障害者の方向けの鑑賞会などを開催したらもっとより深く知ることができるのでは、と思った。
・美術に興味があっても美術館は博物館に行くきっかけづくり(周知など)があるといいと感じた。
・当事者のかたとふれあい、直接お話を聞くことが大事
・情報コーナーの広さの取り方(車椅子ユーザーは念頭にあったが白杖はなかった)
・PayPayは便利
【これから】
・車イスの方と一緒に館内を回ってみると気づくことってあるなと改めて実際に現場で確かめることの大切さを感じた。
・施設の改善要求の理由として活かせると思った。
・サイン(障害者割引、駐車場など)の整理、見直し
・自分の館へ戻って、いま一度部屋を一つ一つ見回って色々な障害の方へ何が出来るのか確認します。
・車椅子利用者にとって、使いやすいトイレは重要。出かける動機になる。
・来館前の情報収集からバリアフリーははじまっている
・館内の設備情報の周知をする→障害者の連合会への通知など
・ユーザーさんの要望をきちんと尋ね、振り返りながら支援することが大切(お一人、お一人の特性を知ること)
・点字ブロックやWi-Fiなど館内のサービスを把握すること
・既存のサービス(車椅子貸し出しなど)周知すること
・障害をお持ちの方に「行ってみたい」と思ってもらえる広報を。
障害のある方への対応というと、特別なことをしなければならないように思われがちですが、既存のサービスや施設のなかで当事者の方と対話を重ねながら模索していく「合理的配慮」の在り方を学ぶことができました。
講師のみなさん、長崎県美術館さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。








