アートサポーター養成講座「表現活動のあれこれ」@鹿児島 を開催しました

1月20日(土)、鹿児島県内で障害のある人たちの表現活動からさまざまなプロジェクトが展開できる環境を整え、横断的なネットワークを構築することを目的として、鹿児島県障害者芸術文化活動支援センターと協働で『アートサポーター養成講座「表現活動のあれこれ」』を開催しました。

 

鹿児島では昨年度に「鹿児島県障害者芸術文化活動支援センター」が設立され、鹿児島県内の障害のある人やご家族、支援者を対象に芸術文化活動に関する相談支援、人材育成、参加や発表の機会創出などが展開されています。

今回の講座では、厚生労働省が実施している障害者芸術文化活動普及支援事業、鹿児島県障害者芸術文化活動支援センターの活動事例の他、県内で既に障がいのある人たちの表現活動を行っている3 団体をお迎えしそれぞれの事例を紹介。参加者の皆さんからの意見や質問を踏まえてこのような活動を地域にどのように結びつけていくかということについて共に考える場を作っていきました。
参加者は会場参加29名の他、離島の方や九州各地の方々などオンライン参加者26名。鹿児島の熱の高さが伺えます。

 

まずは、当センター長の樋口より障害者芸術文化活動普及支援事業について国内での障害のある方の芸術文化活動の歴史歴史を含め、当センターが行なっている事業の話を織り交ぜながら説明させていただき、その後鹿児島県の支援センターを運営されている塩満さんより支援センターでの取り組みについてお話しいただきました。

鹿児島県障害者芸術文化活動支援センターは2022年度より活動を行なっています。
これまでに、芸術文化活動を行う障害者やその家族、福祉施設、支援団体等を支援する拠点として様々な相談対応やワークショップ、セミナーや展覧会を開催。
塩満さんからは、取り組んでこられたこれまで活動とこれからの展望についてじっくりお話しいただきました。

休憩を挟んでからは、鹿児島で活動を行う3つの団体による事例報告です。

  

1団体目は、鹿児島県鹿屋市にて障がいのある人の創造の場や仕事の場、表現を発信する場づくりを展開されている『特定非営利活動法人Lanka(ランカ)』さん。代表の大山真司さんに、その場づくりの一つであるカカオ豆の状態から一枚のチョコレートを作る〝ビーン・トゥ・バー〟チョコレートkiitosの製造販売、ブランディングについてのお話を中心に活動を行う上で大切にしていること、その思いについてじっくりお話しいただきました。

kiitosでは絵が上手な人はパッケージの絵を描いてもらい、集中力がある人は、黙々とピンセットでカカオの皮を取り除いてもらうなど、ひとり一人の得意分野に合わせて仕事を行っているそうです。ハンディキャップがあるから…、福祉施設が作っているものだから…、と言った妥協は一切せず、お客様へ自信を持って手渡しできるビーントゥバーチョコレートを誇りを持って作っているという話がとても印象的でした。

続く2団体目は、ものづくりを柱としながら障害者支援事業を行っている「しょうぶ学園」の福森創さんにお話を伺いました。
しょうぶ学園は、「ささえあうくらし―自立支援事業」「つくりだすくらし―文化創造事業」「つながりあうくらし―地域交流事業」をテーマに、障害のある人たちが地域社会でよりよく暮らしていくための創造的で刺激的なコミュニティづくりを目指して活動を行なっており、レストランやクラフトショップ、ギャラリーなどが併設された敷地には地域住民をはじめ、県外や海外からも多くの人が訪れる外に開かれた場所になっています。
1973年に開設後、利用者の感性溢れる創作の姿勢に魅せられ、1985年から活動そのものを「工房しょうぶ」として、下請け作業を廃し工芸を中心にした利用者の個性を発揮できる環境づくりに転換。 以来“地域に根差した個性あふれる福祉文化の創造”をコンセプトに施設活動が「与えられる」側から「創り出す」側になることを目標に活動を行っているのだそうです。
今回は、ものづくりを柱とした活動を行なっていく上で「しょうぶ学園」としての物事の捉え方や考え方についても詳しくお話しいただきました。

そして3団体目は「まくらざきこども発達支援センターすまいる」さん。
枕崎市の東シナ海をのぞむ高台の木々の緑に囲まれた場所にあり、発達に何らかの支援が必要とされる子どもに対して、個別の発達支援を行っています。施設長である岩下周子さんからは日々の営みの中で作品を”生み出すことと生きること” 、寄り添うこと、「人」としての生き方について、ご自身の体験を交えながら丁寧にお話しいただきました。

 

事例紹介後は、質疑応答・ディスカッションの時間です。
登壇いただいた皆さんに参加者の皆さんからの質問に答えていただきつつ、なぜ創作活動を行なっているのかという部分についてそれぞれにお話を伺いました。
それぞれの活動は方法や手段こそ違うけれども向かうベクトルは同じ。人がその人らしく生きること、その活動についてじっくりと考える時間となりました。

参加者の皆さんからは

・福祉施設の支援者として、物づくりに対する姿勢を考え直す良い刺激になりました。
・表現はその人がその人らしくあふれるものということを再認識しました。
・どのお話も大変興味深く、障害あるなしに関わらず、すべての人に対してのあるべき関わり方だなあと皆さまの言葉から感じました。
・各施設はこんなにも多くの活動をやっているのかと、支援のあり方を考えさせていただくとても貴重な時間でした。
・今後、これから活動を始めたい人へのセミナーもあれば嬉しい。

などの感想をいただきました。

今後も、鹿児島の各地域に支援できるような体制づくり=横断的なネットワークづくりを目指して、いろいろな学び合う場を作っていきたいと思っています。

引き続き、どうぞよろしくお願いします!

 

 

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