詩であそぼう!たくさんの「わたし」。レポート

先日、ファシリテーターに“詩のソムリエ”渡邊めぐみさんをお迎えして、当センターで初めての詩のワークショップを開催しました。


参加者は、障害のある人、ない人、普段から言葉をたくさん使ってコミュニケーションを取る人、そうでもない人、などバラエティーに富んだ総勢20名。
過去に当センターが主催した表現ワークショップの参加メンバーも多かったため、和気あいあいとした雰囲気で始まるかと思いきや、詩のワークショップって何をやるのだろう・・・?という緊張感に包まれつつのスタートとなりました。

まずは漂う緊張感をほぐすべく、身体を動かしていきます。

少し緊張がほぐれてきたところで、好きな「ひらがな」を一文字頭に思い描いて、それからイメージする絵や線を手元にある紙に色鉛筆で書いていきます。その絵を見て何の文字かを当てていくのですが、「に」といえば「にんじん」のように一筋縄ではいかないみなさんのイメージ回路で会場が温まっていくのを感じます。その後、自由に「ひらがな」の文字を身体で表現する参加者が現れ、そこをファシリテーターの渡邊さんがすかさず拾い、今度はみんなで自分の好きな文字を身体で表現してみることになりました。

  

絵での表現とはまた違ったイメージの回路で体を使って「ひらがな」を表現しようとすることで、「ひらがな」の音や形からイメージや雰囲気を受けとっていたりするんだなぁと興味深い気付きが生まれます。

そして、いよいよ詩の制作に取り組んでいきます。
まずは「わたしは〇〇」という言葉を、思いつくままに何パターンか出していきます。

出てくる言葉は「わたしはモグラ」「わたしはミカン」「わたしは遊園地」などさまざま。その言葉に肉付けしていくように、じっくり(本当にじっくり)と時間を取り、詩をつくっていきました。

 

 

1人で黙々と詩を書き進めていく人もれば、自分のつくった詩に挿絵をいれる人、グループで一つの詩をつくる人、身体で表現したものを他の人に詩にしてもらう人、1人が絵を書いて、それを受け止めもう1人が詩をつくるグループなど、ゆったりとした時間が流れる中、さまざまな方法で詩をつくっていきます。

渡邊さんは打ち合わせの段階から、「詩をつくらなくても、聞いて感じてもらうだけでもいい、とにかく詩に触れて楽しむのがこのワークショップの醍醐味」言われていて、「さぁ詩を作りなさい!!」と脅されることもありません(笑)
渡邊さんとの対話のなかで詩が生まれた人もいました。
絵を描く時と一緒で、正解が無いと思えることで自由に楽しく詩を楽しむことへつながっていったのだと感じました。

  

 
最後に、それぞれのつくった詩を朗読していきます。自分で朗読したり、自分の詩を朗読してもらいたい人を指名して朗読してもらったり、自由に選びながら発表しました。
一人一人の詩に耳を傾けるということも貴重な時間で、その詩から彼ら彼女らのバックグラウンドや、人となりを感じたり、長い付き合いの参加者から以外な言葉が出てきて驚いたりと有意義な時間となりました。

このワークショップは3時間という長丁場で、とにかくじっくりと、ときにはボーッと頭の中に現れる言葉や人から出てくる言葉で遊ぶという、普段の私たちの生活とは全く違う感覚と時間が流れる不思議な時間でした。

理解されても、されなくても構わない。成り立っていても、成り立っていなくても構わない。自分からでてきた何か、をそのまま表現して外に出す、ことの清々しさや気持ちよさを再確認するワークショップとなりました。

 

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