「商品企画プロセスワークショップ@沖縄 with HUMORABO」レポート!

昨年12月に沖縄県にて「商品企画プロセスワークショップ with HUMORABO」を行いました。

2018年に同県で開催した「アートサポーター養成講座(基礎編)」に引き続き、今回は厚生労働省障害者芸術文化活動支援専門官の大塚千枝さん、沖縄県で長年障害のある人たちの表現活動に携われている朝妻彰さんを招き、沖縄県での障害のある人たちの芸術活動の今後について学び合う講座と、障害のある人たちの表現作品から商品企画を関東や東北地方で実践されている、「HUMORABO」のお二人を講座にお招きして、企画する際に必要な考え方や手法を学ぶワークショップを2日間に渡り開催しました。

前回の参加者をはじめ、今回初参加の方を含め総勢17名。福祉施設関係者、デザイナー、行政の方などさまざまな分野の方にご参加いただきました。

 

【沖縄県での今後の芸術活動について考える事例報告&ディスカッション】

1日目の前半は、厚生労働省の大塚さんによる障害者の文化芸術に関わる法律を踏まえた障害者芸術活動普及支援事業についての話からスタート。

「法律」と聞くととても堅苦しく聞こえますが、大塚さんからのお話は「なぜ芸術活動が必要なのか?」、「そもそも芸術活動とは?」という観点からわかりやすく、私たちの日常に馴染み深い言葉を使ってお話しいただきました。

「芸術文化というのは特別なものであり、愛好品・余暇活動ではなく生きていく上で必要なものであるという認識であり、芸術として生活から切り離されたものではなく、障害のある人たちの生活から生まれる表現からつながっていくうえで必要な芸術活動を支援していきたいと思っている」と大塚さんは言います。

芸術活動は、障害の有無に関わらず、私たちの生活を豊かにしてくれる可能性があり、社会参加や自立にとても有効であるということを知ることができ、大塚さんのお話を通してこの施作について詳しく知ることができた貴重な時間となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いては、沖縄で先駆的に障害のある人たちの芸術活動に尽力し、「アートキャンプ」というプロジェクトを20年に渡り実施されている朝妻さんに沖縄県での活動事例についてお話しいただきました。

障害のある人たちの表現作品が評価されるというような時代ではなかった頃から、特別支援学校で美術教員だった朝妻さんには「作家として紹介したい」という思いがあり、当時の教員仲間などで「アートキャンプ実行委員会」を設立されたそうです。

「アートキャンプ」では、障害のある作家のそれぞれの魅力や独自性が伝わるように観せる展示を行っておられます。その他、作品の公募や審査、作家発掘とその活動は多岐に渡り、県内各地で活動を展開されています。

「芸術文化という観点から捉えると、障害のあることがマイナスとは思えない。その人であるがゆえの独自の面白い表現が興味深い」と朝妻さん。

長年携わってこられた朝妻さんの思いが沖縄県で少しずつ広がり、今回の参加者の皆さんとつながって新しい何かが始まる可能性を感じました。

お二人の講座の後は、大塚さん、朝妻さんお二人に当センターの樋口を交えてのディスカッション。

実際に芸術活動を行なっている福祉施設での話はもちろんのこと、プロのアーティストが関わった事例、リスクマネジメントや知的財産権に関わる事例など、障害のある人との芸術活動活動を行われている、また、これから行おうと思われている参加者にとってとても有意義な時間とともに、今後の活動を後押ししてくれるような時間となりました。

【商品企画プロセスワークショップ】
“福祉と遊ぶ“をテーマに、素敵な商品を産み出しているデザイナー「HUMORABO」のお二人。
「HUMORABO」の活動は、福祉施設でつくられている商品の売り方や価格設定などに違和感を感じたのが関わりはじめたきっかけだそうです。施設での日常や制作者のこだわりなどのストーリーを商品コンセプトに加え、流通していく中でさらに新たなストーリーが生まれるような商品企画をされています。

まずは、「『障害』をコトバ化してみよう」というお題からグループワークがスタート。参加者それぞれでイメージした単語をグループで共有していき、その後「『福祉』をコトバ化」へと進んでいきます。
このワークでは、障害福祉という領域の内外それぞれの立場からのイメージされたコトバのギャップや共通する点を共有しながらディスカッションを進めていきます。普段の生活で当たり前に感じているものやことがコトバとなり、共有されていくことで可視化されていきます。

  

2日目は、「HUMORABO」が過去に実施したプロジェクトの話から、前日のワークで出てきたコトバ(商品化の種)を中心に据えて、社会にどのようにアプローチするか?を考えていきます。

「HUMORABO」の活動事例を参考に、デザインする際に必要なこと、大切にしていることなど商品企画におけるプロセスについて詳しくお話を伺いました。「HUMORABO」が関わる商品は、手にすることで何かのきっかけやつながりを生み出すツールにもなっていることに気付かされます。

  

この日のグループワークは、参加者のバックグラウンドを含めた自己紹介から始まり、、それぞれの強みを出し合いながら、前日のワークで出てきたコトバを魅力的に発信する方法や社会的課題解決につなげたりする方法を考えながら、新たな価値が生まれそうな要素やトピックなどを拾っていきます。

後半は、商品企画基礎講座として、ものづくりのプロセス、核となるコンセプトから、ターゲットの設定など、具体的なお話をお伺いました。

その後のワークでは、生まれたコンセプトから「誰にどのように届けたいか?」という方法を掘り下げ、且つ広げながら具体的なものにしていき、キーワードやアイディアがコンセプトとなり、ターゲットは“自分の想いを伝えたい対象”となっていきます。という感じでグループでのディスカッションを繰り返し、商品やサービスの企画が一気に立ち上がっていきます。

 

最後は、各グループごとに発表を行ってもらいました。
最初の「『障害』『福祉』をコトバ化してみよう」というテーマから最終的には大きなコミュニティづくりに発展していたり、ビジネススキームまで構想されいたりと、驚きあり関心あり、さらに笑いありの企画が盛りだくさんで、すぐにでも起業できるくらいの構想を練っていたグループもありました。

今回の事例報告&ディスカッションでは、障害のある人たちの芸術活動に関心のある沖縄県在住の方々を対象に、県内での芸術活動の発展と横断的なネットワークの構築を、さらに2日間にわたり開催した商品企画プロセスワークショップは、前回の参加者から強い要望があり、商品化に向けたコンセプトワークのスキルアップを目的に開催しました。

最後に、コロナ禍という状況でもご登壇いただきました講師の皆さま、並びにご参加いただいた皆さまに改めて心からお礼申し上げます。

この日の対話や経験が、皆さまの今後の活動で活かされることを願っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です