「アートサポーター養成講座 レクチャー&相談会@沖縄」を開催しました

昨年12月、沖縄にて「アートサポーター養成講座」を行いました。
2018年から毎年開催していて3回目となる今回は、沖縄県での障害のある人たちの芸術活動をどのように地域に結びつけていくのかについて考え、学ぶことを目的とした「レクチャー&相談会」を開催。
ゲストに、障害者芸術文化活動普及支援事業の推進官である大塚千枝氏とおおいた障がい者芸術文化支援センターの吐合紀子氏、立花泰香氏を迎え、事業の目的や現状、支援センターの活動事例について詳しくお話していただきました。
参加者は福祉関係者の他、アーティストやクリエーターなど15名。コロナウィルス感染症対策によりハイブリッドでの開催でしたが、会場参加の方も多く盛り上がりました。

 

まずはじめに、大塚さんの「厚生労働省における障害者の文化芸術活動に関する取り組みについて」のお話からスタート。
事業の目的や意図から、実施している事業等をわかりやすく説明いただきました。
なぜ芸術活動が必要なのか?そもそも芸術活動とはどういたものなのか?という話から始まり、支援センターや広域センターの役割の話など、障害者芸術文化活動普及支援事業が行なっている施作について知り、理解する時間となりました。

事業の中で進められている各都道府県への障害者芸術文化活動支援センターの設置は、障害のある人にはもちろんのこと取り巻く環境にもよりよい変化がもたらされ、地域の誰もがより幸せに、元気になることを目指して進められています。今年の10月22日(土)〜11月27日(日)に沖縄で開催される「第22回全国障害者芸術・文化祭おきなわ大会(美ら島おきなわ文化祭2022)」を機に、沖縄に支援センターが設置されることを期待しています。

  

 

 

次に大分県の支援センターを運営されている吐合さん、立花さんより支援センターでの取り組み事例についてお話いただきました。おおいた障がい者芸術文化支援センターは、国や県における以下のような3つの大きな流れの中で、2018年に設立されました。

・大分県で障害者芸術活動支援懇談会が開催され提言書の作成を行ったこと。
・2018年に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が施行されたこと。
・第18回全国障害者芸術・文化祭が大分県で開催されたこと。

現在、全国47都道府県への設置を目指している支援センターですが、その運営方法は各都道府県毎に異なります。大分の支援センターは県の障害福祉課より受託を受け、財団所属の職員として事業行っているそうです。
2018年の全国障害者芸術・文化祭おおいた大会の後継として、大分県として障害のある人たちの芸術活動を継続的にサポートしていくことを目的に、県と二人三脚で活動を行われています。

今回お二人からは、主に支援センターの日々の業務についてどういう流れでどのような方法で進められているのかという部分を丁寧にお話しいただきました。
多くの企画や取り組みを行う中で、大切にしていることは“展覧会の展示やチラシのデザインなどは専門の方にお願いする”ということ。各機関とのネットワークを活用しながら日々様々な業務を進められています。この“連携する”という部分に共感する方が多く、改めてネットワーク構築の大切さを実感した時間でした。

 


続いて、当センター長の樋口からは広域センターでの取り組みについて、話をさせていただきました。
母体であるNPO法人まるは、“社会を変えること”を目標に活動を行ってきました。障害のある人も生きやすい社会にするために、自分で選択できる環境をいかに作っていくかということが大切であり、その手段としてアートがある、という考えです。
広域センターとしても同じように取り巻く環境をいかに変えていくかということを考え、支援者や事業所、文化施設、行政など取り巻く環境を対象に様々な企画を行っています。活動を行っていく中で大切にしていることはやはり、それぞれの場で“ネットワークを構築していくこと”。課題を解決するための手段や方法を共有しつつ、ネットワークを構築する活動を様々な場所で行っています。

その後は、グループに分かれてディスカッション。
それぞれの活動や普段行なっている支援から生まれた課題や悩み、思いを共有。考えや意見を共有する場の必要性を改めて感じる場となりました。アート事業を工賃へつなげるにはどうすればいいのか?既に行っている活動をアウトプットする場・方法について知りたい、など様々な質問や現状が飛び交う中で見えてきたのは、やはり“横断的なネットワーク”が必要なのだということ。
「餅は餅屋」。 その道のことはやはり専門家が一番。
まずは、障害のある人たちの活動をどう活かすのかという部分に特化して、そこから先の魅力的に見せる部分はそれが得意な方へ任せる。施設や団体といった組織で取り組むのではなく、モヤモヤを共有できるような横断的なネットワークの構築を行っていかなければいけないと感じる時間でした。

参加者の皆さんからは

・沖縄県以外の施設のことや、様々な取り組みについても知る良い機会になりました。
・展覧会やイベントをすることが目的ではなく、地域の課題を解決する手段としてイベントをするという言葉が印象に残りました。
・刺激になりました。やりたいことを発信して、実現できるようになりたいと思いました。

等の感想をいただきました。また、

・県内の事業所とのつながりを作りたい。
・先進的な取り組みをされている県外の事業所にも伺ってみたい。
・色々な企画や各機関との連携についてさらに知りたくなりました。
・沖縄にも支援センターができて欲しいと思いました。

という熱い声もたくさんいただき、「美ら島おきなわ文化祭2022」へ向けて、沖縄県の事業所間でのネットワークを作りつつ、一緒に盛り上げていきましょうと決意を新たにして、今回は終了。濃い1日となりました。
今後の沖縄での展開が楽しみです。

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